形式ではなく、合意の「証拠」をとるためわが国では、一部の特殊な契約を除き、
口約束で契約が成立する。契約書は、あくまでも契約したかどうかや、その内容について
争いが起きたときに、「証拠」としてつくるものだ。したがって、単に形式や体裁を
整えるためのものではない。もっとも、方便として単なる形式だとか、体裁にすぎないような
説明がなされることはある。しかし、本音のところから言えば、あえて契約書をつくるのは、
後で争いが起きたときに備えるためであり、その契約書通りにすることを狙って
契約書はつくられる。そこで、実務的に契約書によって守られるのは、
「利益の確保」と、「リスクの回避」だと言える。つまり、その契約でどういう利益が
得られるのかを明確にすると同時に、予想されるリスクを負わないようにするということが
契約書作成の目的と考えるべきだ。リスクの回避とは、商取引のトラブルを
回避することに通じる。
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