最悪でも写しは必ずとっておく契約締結の時、余白に「捨て印」を押すように言われた。
よくやることだろうということで、捨て印を押した。その後、その契約についてトラブルが
発生し、相手方は捨て印を利用して遅延損害金の割合を年六分から年三割に
書き換えていた。運悪く、会社で保管していた契約書を紛失してしまったら、年三割の
支払わなければならないのか?このような事実がきちんと立証できれば、
遅延損害金を法律的には支払わなくてもいいというのが結論。しかし、契約書が
ないため、相手方が勝手に書き換えたという立証ができるかどうかが問題となる。
確かに、契約書に「捨印」が押されることがある。ただ、捨印があれば、相手方が、
どんな条項でも記入できるというものではない。その記入を相手方に委ねたような特別の
事情があれば別だが、そうした特別の事情のない限り、相手方は契約書に加入の形式で
補充したりすることは許されない。したがって、捨て印を利用しても、勝手に
追加・補充された条項については、当事者間に合意が成立したとみることはできない。
法律論としては、そういうことになる。だから、契約書やその写しをなくした
ということになると、水掛け論に陥ってしまい、紛争としては予断を許さないものになる。
以上
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