経済産業省「海外事業活動基本調査」によると、日本企業の海外進出からの撤退理由として
最も多いのは「製品需要に見誤りによる販売不振」である。つまり、マーケットの変化に的確な
対応を行うことが成功の条件であり、これは国内外ともに変わらない。
そこで重要となるのが、進出先での市場動向の把握となろう。例えば欧米系企業が先行する
中国市場に関して、こんなデータがある。米大手のアビームコンサルティングが中国に進出する
欧米・日系企業に実施した調査によると、中国でのマーケット情報の収集方法において、
欧米系企業と日系企業では明確な違いが見られた。
欧米系企業が「街頭アンケート」(41%)や「イベント会場でのアンケート」(47%)など、
直接聞いた消費者の声を重視するのに対し、日系企業はそれぞれ10%台と関心が薄かった。
一方、日系企業が重視する「販売チャネルからの情報」(44%)については、欧米企業の回答率は
14%にとどまっており、欧米勢は日系ほど間接情報を重視しないという傾向が出ている。
この日系企業と欧米系企業のアプローチのうち、どちらが正しいのだろうか。それは、
欧米系企業である。かつて松下幸之助氏は次のようなことを言っていた。
「困ったときには、お客さんに聞きなはれ。そやけど、お客さんの欲しがるものを売っては
あきまへんで。お客さんが喜ぶものを売りなはれや。」
これこそが正しいアプローチである。
消費者が欲しがっている物をそのまま開発し、販売しても売れるとは限らない。なぜなら、そうした
「欲しがるもの」は既に存在していたり、単に消費者が自分に便利なモノを「想定」して言っている
だけだからである。真に欲しいもの(=喜ぶもの)とは、この世でみたこともないモノだからである。
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