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第160回
サービス業の経営革新事例(1)
2017/3/1

 1.経営革新事業の目的及びその必要性

  群馬県伊香保温泉地は、観光目的の団体客や地元ビジネス客を中心に、平成3年のピーク時には
 172万人の宿泊客があった。その後バブル崩壊もあり、平成17年には111万人へと35%も減少した。
 その間、デフレの影響により一人当たりの客単価も下がり、当温泉地全体の売上は、
 ほぼ半減したと思われる。客数や客単価が低下した原因は、景気の低迷に加え、
 団体客から家族・小グループ客への変化が大きく作用している。
  具体的には、平成3年のピーク以前の10人以下の個人客のシェアは、それ以前を含め長い間
 3分の1以下に過ぎなかったが、今日では半分を優に超えている。一方、団体客は当館の場合で
 10数万人だったものが、現在は6万人以下へと半減した。
  そのため団体客向けの宴会場や定員一杯の利用を前提にした客室に変わり、新しく個人客を
 対象とした大型旅館に生まれ変わることが急務の課題になり、経営革新事業を行う必要性が高まった。

 2.事業の内容及び規模

 <ハーフバイキング方式>伊香保温泉のホテルTでは、現状2階を中心に25箇所で合計1千畳を超える
 宴会場を有している。近年、畳の宴会が中心の団体客が大幅に減少したことにより、個人客向けの
 新しい食事会場と新しいサービスの提供方法として、ハーフバイキング方式を導入することとした。
 72卓190席の新食事会場を建築し、初年度で年間1万人の利用を確保する。
 また、次年度以降もさらなる拡大を目指す。

 <客室のリノベーション>高齢化社会が現実のものになったことに対応して、これまで断片的に
 進めてきた人に優しい施設作りを向上させるために、ユニバーサルデザインの導入を決めた。
 基本的なスタイルは、3世代の家族構成(高齢者や障害者を含む)の全組み合わせに
 対応することとした。当館8階の8室を対象とし、初年度で年間6千人の利用を確保する。   以上

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